本記事で分かること
基板各部(ランド、パッドなど)がどんな形状、役割を持つかわかる。
基板用語は、会社によって呼び方が違うものが結構あります。
例えば、部品面は、A面、L1面、C面等 複数の呼び名が存在します。
(転職した時に、呼び名が違うと結構 違和感あるんですよね。)
パッド と ランド
パッドとランドは部品を半田づけするための銅箔部分のこと。
パッドは表面実装部品を半田付けする部分。
ランドは穴(スルーホール)の周囲にあり、リード部品を穴に通して半田付けする部分。
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シルク
基板に印刷された文字や図形のこと。
部品外形や部品番号を表示することで、どの位置に半田付けするかわかる。
また、フロー半田時の流し方向、ULマーク等の各種情報の表示に用いる。
一般的には白色だが、黄や黒などもある。
![](https://ana-dig.com/wp-content/uploads/2020/12/d3ce8c17c5926df94d0f7ecd860c907f-1024x371.png)
スルーホール(TH) と ノンスルーホール(NTH)
スルーホール(TH)は、ランドの中心にある部品のリードを入れる穴。
穴の内面は銅メッキされていて、ランドと電気的につながっている。
ノンスルーホール(NTH)は、内面が銅メッキされてない、 ただの穴。
バカ穴とも呼ばれる。ネジを通して基板を取付けるのに用いる。
また、コネクタなど半田づけ以外でも固定する必要がある部品の固定穴にも用いられる。
![](https://ana-dig.com/wp-content/uploads/2020/12/b7156c12546ffc1299088c6595638491-1024x595.png)
ビア(via)
基板の各層にあるパターン間を接続するための穴。
スルーホールと似ているが、リードを挿入しないので直径が小さい。
多層基板の場合は内層だけ接続されるものあり、外観からは見えない。
サーマルランド
半田づけ時に熱がパターンに逃げて半田が溶けにくくなるのを防ぐために
パターンとの間に切込みを入れたランドのこと。
GNDパターン等の太いパターン(ベタパターン)に設けることで、
半田温度低下による実装不良を防ぐ。
また、部品を交換する場合、サーマルランドにしておくと半田が溶けやすくて楽です。
但し、パターンとの接触部分が減り、抵抗成分が増えるので、
大電流を流す場合は、あえて通常のランドにすることもあります。
![](https://ana-dig.com/wp-content/uploads/2021/04/84aa576c529818ea6a0ec13027148468.png)
※サーマルランドでないベタパターン上の部品外しは大変困難です。
その場合、基板にダメージを与えずに部品を外せる低融点ハンダが便利です。
下記記事で低融点ハンダを紹介しています。
パターン
銅箔によって基板上に電気を通す配線のこと。
銅箔の厚さは、主に18、35、70umが用いられる。
ベタパターン
ベタっと大きく貼り付けたパターンのこと。単に「ベタ」とも呼ばれる。
GNDや電源ラインなど電流を多く流すパターンに適用する。
面積を大きくすることでインピーダンス(抵抗)を小さくする役割を果たす。
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ソルダーレジスト
基板上に塗られた緑色の部分。(青や赤などもある)
「レジスト」は英語で「抵抗する」、「ソルダー」は「半田」という意味。
つまり、半田がつくのを防止する性質をもつ。
パッドやランド以外の部分にこれを塗ることで、半田が不要な部分に付着するのを防ぐ。
また、パターンをゴミや湿気などから防いで錆を防止する。
絶縁性もあるが、非常に薄い膜なので、パターン上に金属が触れることは避ける。
別名ソルダーマスク、単にレジストとも呼ばれる。
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Vカット
基板実装後に切り離すために設けたV字型の溝。
折り曲げることで切り離すことができる。
折り曲げ時のストレスによる部品破損を防ぐため、分割治具を用いることが望ましい。
![](https://ana-dig.com/wp-content/uploads/2020/12/59af63d1e79d6b22c8e1c1eaf26d982f-1-1024x467.png)
スリット
細い長穴状の切り抜き部分のこと。
以下の用途に用いられる。
・Vカットと同じく基板実装後に、捨て基板を切り離すため。
・パターン間の絶縁(沿面距離)の確保のため。
![](https://ana-dig.com/wp-content/uploads/2020/12/f29647c415ba76a25800e0a6eb601308-997x1024.png)
認識マーク
部品実装機が基板の位置を読取るためのマーク。
基板の非対称3ヶ所に設けることで、上下左右の搬送方向を正しく検出できる。
![](https://ana-dig.com/wp-content/uploads/2020/12/65f28e1e3ebb2eb8fef40a4bd69315c6-1024x738.png)
原点マーク、基準(フィデューシャル)マーク、BOC(Board On Chip)マークと様々な呼び名がある。
実装後には使用しないので、捨て基板に設けられることが多い。
但し、QFPなど高精度の搭載が必要な部品がある場合、個別に部品位置用として基板本体内に設けられる。
捨て基板
基板完成後に捨てる部分の基板。捨て板とも呼ばれる。
基板本体の周囲に設けられ、Ⅴカットやスリットを設けることで切り離せる。
この部分に実装時のみ使用する取付穴や認識マーク等を設けることで、
基板本体の部品搭載スペースを広くとれる。
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部品面
リード部品を載せる面のこと。
両面とも表面実装(SMD)部品のみの場合もあるが、その場合はこちらが表面になる。
A面、L1面、F(フロント)面、C(コンポーネント:部品)面等、様々な呼び名がある。
![](https://ana-dig.com/wp-content/uploads/2020/12/board-96597_640.jpg)
半田面
半田付けする面のこと。
両面とも半田付けする場合もあるが、その場合はこちらが裏面となる。
B面、L2面、R(リア)面、S(ソルダー:半田)面等、様々な呼び名がある。
![](https://ana-dig.com/wp-content/uploads/2020/12/pexels-pixabay-50711.jpg)
次回は、フロー、リフローなど部品実装で出てくる用語の説明をします。
<パターン幅、間隔の決め方について解説しています>
<半田付けのコツや部品の外し方を解説しています>
<回路設計30年の経験からおすすめする 5つの作業効率UPアイテム>
<トランジスタのベース抵抗の決め方等、トランジスタの基本設計について解説しています>
<エミッションやイミュニティなどEMC試験方法について、分かりやすく解説しています>