本記事で分かること
- EMC試験とはどんな試験なのかわかる。
- EMIとEMSとは何か、それらを規定している規格についてわかる。
EMC試験とは?
EMC(エレクトロ・マグネティック・ コンパチビリティ)は「電磁両立性」という意味です。
簡単にいうと、製品が電磁波障害の加害者にも被害者にもならない性能を持つことです。
EMC試験は、そのことを確認する試験です。
エミッション(EMI)とイミュニティ(EMS)
EMC試験は、エミッション試験とイミュニティ試験の2つに分類されます。
エミッション(放出)試験
電磁波障害の加害者にはならないことを確認する試験
(製品から出る電磁波が規定以内であること)
EMI(Iはインターフェアレンス(妨害)、電磁妨害)試験とも言う。
イミュニティ(免疫)試験
電磁波障害の被害者にならないことを確認する試験
(電磁波を受けても製品が誤動作しないこと)
EMS(Sはサセプティビリティ(感受性)、電磁感受性)試験とも言う。
EMC試験の規格について
EMC試験の国際規格はIEC(アイ・イー・シー 国際電気標準会議)で制定されています。
イミュニティ試験方法はIEC61000-4で規定されています。
エミッションは、IECの特別委員会であるCISPR(シスプル 国際無線障害特別委員会)で制定されています。代表的な規格にCISPR32(マルチメディア製品 エミッション試験方法)があります。
IECとCISPRをベースに各国の規格が定められています。
その中で欧州規格であるEN(イーエヌ)規格が代表的です。
※ENはヨーロピアン・ノーム(ヨーロッパの規格)という意味
適合した製品にはCE(シーイー)マークが貼付されます。
(厳密にはEC指令に適合したものに貼付されます)
※CEはフランス語で「ヨーロッパ適合」という意味
IEC規格とほぼ同一で、同じ番号体系になってます。
例えば、放射イミュニティ試験の場合、
IEC規格 IEC61000-4-3 → EN規格 EN61000-4-3
と同じ番号になっています。
日本では法規制として、JIS(日本工業規格)と電気用品安全法(電安法)があります。
情報処理機器についてはVCCI(ブイ・シー・シー・アイ 情報処理装置等電波障害自主規制協会)と呼ばれる団体規格で自主規制をしています。
JISはIEC規格に準じており、
主にイミュニティ試験の規格で使用されています。
ENと同じく、放射イミュニティ試験の場合、
IEC規格 IEC61000-4-3 → JIS規格 JIS C 61000-4-3
と同じ番号になっています。
電安法もIECやCISPRに対応しています。
マルチメディア機器以外のエミッション試験の規格として用いられています。
適合した製品はPSEマークが表示されます。
VCCIはCISPRに基づいて制定されています。
マルチメディア機器のエミッション試験の規格として用いられています。
適合した製品はVCCIマークが表示されます。
エミッションの詳細は、「エミッションとは? 伝導・放射エミッションの違いについて」で解説します。
各EMC試験の詳細と対策法については、以下のまとめサイトで解説しています。
以下の記事で、EMC対策で役立つ工具類を紹介しています。