バースト、CDNとは? 伝導妨害とFTBについて | アナデジ太郎の回路設計

バースト、CDNとは? 伝導妨害とFTBについて

EMC試験

本記事で分かること

・伝導イミュニティ(伝導妨害)試験の手順、試験時間、費用がわかる。
・FTB(ファスト・トランジェント・バースト)試験についてもわかる。

本記事を読む前に下記記事を読むと分かりやすいです。

   ↓ イミュニティ(EMS)とは何かについて解説

   ↓ 各イミュニティ試験の概要について解説

FTB試験の手順について

電気的ファスト・トランジェント・バースト試験(IEC 61000-4-4)
FTB(Fast Transient Burst)試験とも呼ばれます。
ファスト(高速)・トランジェント(一時的)・バースト(破裂)で、
高速で瞬間的なノイズということになります。

製品の電源・通信ケーブルに周波数5kHz/100kHz、0.25~4kVのノイズを注入します。

この試験では、外部機器が電源ON/OFFや起動/停止した時に
瞬間的に発生するノイズを製品が受けた場合の影響を試験します。

<手順>
①製品とケーブルは絶縁台に配置する。
②試験装置にケーブルを接続する。
 ・電源ケーブルの場合
   試験装置~製品までの電源ケーブルの長さ0.5mにする。
   余った分は束ねる。
 ・通信ケーブルの場合
   カップリングクランプと呼ばれるケース内にケーブルを入れる。
③試験装置からケーブル内の各線一括でノイズを注入する。
 (単相電源ケーブルの場合、L・N・FG線を同時にノイズ注入する)
④1分間ノイズを注入し、試験中及び試験後の動作に異常がないか確認する。

<試験レベル>
注入するノイズは5kHz/100kHzで、電源・通信ケーブルによって以下の電圧となります。
       電源   通信
 レベル1 :±0.5kV  ±0.25kV
 レベル2 :±1kV      ±0.5 kV
 レベル3 :±2kV      ±1kV
 レベル4 :±4kV      ±2kV

<試験時間>
電源ケーブルの試験の場合、
製品の入力電圧がAC100V/230Vの2種類あるとすると、
ノイズ周波数(5k/100kHz)、±極性でレベル1~4まで試験した時

測定時間は、
 2入力電圧×2周波数×2極性×4レベル×1分=32分
この時間は、セットアップや試験装置の操作時間等は含んでいません。
このため、試験時間としては1時間程度かかります。

通信ケーブルもあれば、その分増えます。
ですが、イミュニティ試験の中では試験時間は短い方です。

<費用>
比較的安価な公共の試験サイトの場合は以下になります。

東京都産業技術研究センター(都産技)の場合(2021年1月現在)
 高周波ノイズシュミレータ 機器利用費 ¥1,290/h
 (中小企業の場合 ¥640/h)

試験サイトによっては、試験装置以外にシールドルーム使用料もかかる場合がありますが、
合わせても¥1,500~2,000/h程度です。

この金額は機器利用費なので、試験は自分達で行います。
(最初に説明は受けるので、操作方法は知らなくても大丈夫です)

民間の試験サイトは操作もやってくれるところもありますが、かなり高くなります。



伝導イミュニティ試験の手順について

無線周波電磁界伝導イミュニティ試験(IEC 61000-4-6)
伝導妨害イミュニティ、単に「伝導イミュニティ」とも呼ぶ場合もあります。

ケーブルに周波数150kHz~80MHzのノイズを注入します。

この試験で80MHz以下の低周波ノイズを受けた場合の影響を試験します。
(数十MHzはEMCの世界では低周波の領域になります)

<手順>
①製品とケーブルは絶縁台に配置する。
②試験装置にケーブルを接続する。
 ・電源ケーブルの場合
    製品~CDNまでの電源ケーブルの長さ0.1~0.3mにする。
 ・通信ケーブルの場合
    カップリングクランプと呼ばれるケース内にケーブルを入れる。
③試験装置からケーブル内の各線一括でノイズを注入する。
 ノイズ発生器からアッテネータ(減衰器)を経由しCDNからノイズを注入する。
  CDN=Coupling and Decoupling Network 結合/減結合回路網 ケーブル内の各線にノイズを注入する装置
④ノイズ周波数は150kHz~80MHzの範囲で、周波数を1%づつ変化させる。
 (1周波数あたりの試験時間(滞留時間)は、製品の動作サイクルに合わせる)
⑤試験中及び試験後の動作に異常がないか確認する。

<試験レベル>
 注入されるノイズの電圧は以下になります。
  レベル1 : 1V
  レベル2 : 3V
  レベル3 :10V

動作サイクルについて
 製品が動作した時の一連の処理時間のことです。
 つまり、製品がノイズを受けても正常であることを確認するのに必要な時間になります。
 この滞留時間は最短でも0.5s以上確保することになっています。

<試験時間>
電源ケーブルの試験の場合、
滞留時間1sとした時、1測定あたり10~15分
製品の入力電圧がAC100V/230Vの2種類あるならば2測定行います。

この時間は、セットアップや試験装置の操作時間等は含んでいません。
製品の動作サイクルが1s以上かかる場合、その時間を滞留時間にする必要があるので、
その分、試験時間も長くなります。
また、信号ケーブルもあれば、その分増えます。

<費用>
公共の試験サイトの場合は以下になります。

東葛テクノプラザ(千葉)の場合(2021年1月現在)
 放射・伝導イミュニティ試験装置  ¥3,860/h(以降1時間毎に¥2,830)
 小型電波暗室       ¥3,370/h(以降1時間毎に¥3,030)
 合計            ¥7,230/h
この金額も機器利用費なので、測定は自分達で行います。

今回解説した2つの試験ですが、これまでNGになったことは無いです。
このため、対策を実施した経験がないため、対策法については割愛します。

他のEMC試験や対策法については、以下のまとめサイトを参照下さい。

以下の記事で、EMC対策で役立つ工具類を紹介しています。