本記事で分かること
- アートワーク設計、アートワークチェック、ガーバーデータとは何かわかる。
- 基板設計と回路設計との違いかがわかる。
アートワーク設計とは?
要はパターン設計のことです。
アートワークとは英語で芸術作品という意味です。
基板というキャンバス上にパターンやシルクを描くいう芸術的な雰囲気を表現しているのだと思われます。
パターンやシルクについては「ランド、パッド、レジストとは? 基板の部位名称について」を参照。
パターン設計は、基板設計と同義としても良いのですが、
厳密に言うと、基板設計にはパターン設計以外の内容(基板の材質、各層の厚さ、表面処理等)が含まれます。
これらについては、パターン設計前に決めているので、回路設計側で行うことが多いと思います。
基板設計と回路設計の違い
回路設計は、部品間の接続を示した図面(回路図、部品表)を作成すること。
基板設計は、回路図に基づき、実際の基板製作に必要な図面(基板図)を作成すること。
基板図については、データ化したもの(ガーバーデータ)が実際の製造に使われます。
ガーバーデータとは
基板製作に必要な図(基板図)をデータ化したもの。
基板図は以下の種類があり、ガーバーデータは以下の各データから構成されている。
- パターン図(各層毎)
- シルク図(部品面、半田面毎)
- レジスト図(部品面、半田面毎)
- ドリル図(スルーホール、ノン・スルーホール毎)
- 基板外形図
レジスト、スルーホール等については「ランド、パッド、レジストとは? 基板の部位名称について」を参照。
アートワークチェックとは?
実業務において、回路設計と基板設計は、別の会社(部門)で行っている場合が多いです。
このため、回路設計者が基板設計に問題がないか確認する作業をアートワークチェックと呼びます。
ガーバーデータではチェックが困難なので、基板図をチェックすることになります。
先程説明した5種類の図面になりますが、多層基板となると内層のパターン図も加わるとかなりの枚数になり、層間の配線チェックも大変です。
昔は、各図面を透明なフィルムに印刷したものをライトテーブル上に重ねてチェックしていました。
4層くらいまでなら通用しましたが、多層化でそれも現実的でなくなりました。
現在は、電子化した各図面を重ねて見れるビューアーで確認するのが一般的です。
ビューア―は基板CADメーカーから無償で提供されています。
基板設計のチェックについて
回路設計者が基板設計のチェッ(アートワークチェック)する主な内容は以下になります。
- 回路図通りに配線されているか?
- 部品表通りの部品になっているか?
- 部品配置は適切か?
- パターン配線は適切か?
- シルクは適切か?
回路図通りかについては、回路図CADデータ(ネットリスト)から配線しているので、ほぼ間違いないです。
部品表については、同じ部品でもパッケージが異なるものもあるので、多少注意が必要です。
重要なのは、それ以外の項目になります。
部品配置やパターンが適切か? を判断するには、基板設計や基板製造、そして部品実装の知識が必要です。
パターン配線が適切でなければ、回路は正しく動作できません。
部品配置が適切でなければ、半田実装不良が発生します。
本ブログでは、それらのことを知る入門編として、
基板設計は「ランド、パッド、レジストとは? 基板の部位名称について」、
部品実装は「リフロー、フローの違いとは? 部品実装方法について」、
で紹介しています。
<パターン幅、間隔の決め方について解説しています>
以下の記事で、基板工作で役立つ工具類を紹介しています。
<トランジスタの選定方法、FETゲート抵抗の決め方等、トランジスタまとめ記事です>
<エミッションやイミュニティなどEMC試験方法について、分かりやすく解説しています>