本記事で分かること
・電源周波数磁界イミュニティ試験の手順、試験内容がわかる。
・試験にかかかる時間、費用がわかる。
本記事を読む前に下記の記事を読むと分かりやすいです。
↓ イミュニティ(EMS)とは何かについて解説
↓ 各イミュニティ試験の概要について解説
電源周波数磁界イミュニティ試験の手順について
・電源周波数磁界イミュニティ試験(IEC 61000-4-8)
誘導コイル内に製品を設置し、50/60Hzの磁界を照射させます。
電力線、トランス、モータなど周囲に大きな交流電流が流れる環境で
製品を使用する場合の影響を試験します。

この試験は放射電磁界イミュニティ試験と違い、電波暗室で行う必要はありません。
シールドルームで行います。
<手順>
①製品を設置台の上に置きます。
※床置き機器の場合は、グランドプレート(金属板)に0.1m厚の絶縁物を置いた上に配置します。
※試験可能な製品のサイズは試験装置の誘導コイルの大きさで決まります。
この写真の試験装置の場合、1m×1mの誘導コイルを使用してるので、
均一磁界が保証される縦60cm×横60cm×高さ50cmが最大サイズになります。
②試験レベルに応じた電流値(1A~100A)と周波数(50Hz/60Hz)を設定します。
③通電時間は通常は1分間に設定します。
以上の試験を製品の向き又は誘導コイルの向きを変えて、
X、Y、Z軸方向に磁界を変えて試験します。

<試験レベル>
レベル毎に以下の磁界強度が規定されています。
レベル1 1A/m
レベル2 3A/m
レベル3 10A/m
レベル4 30A/m
レベル5 100A/m
製品の使用環境が商用地域ではレベル2、工業地域ではレベル4が適用されます。
試験時間と費用について
<試験時間>
1軸あたりの通電時間を1分とした場合
3軸(X・Y・Z)、2周波数(50Hz/60Hz)で行うので、
1分×3軸×2周波数=6分
製品又は誘導コイルの向きを変える時間を加えても10分程度になります。
イミュニティ試験の中では最も短い試験になります。
<費用>
比較的安価な公共の試験サイトの場合は以下になります。
東葛テクノプラザ(千葉県)の場合 (2021年1月現在)
シールドルーム (最初の1時間) ¥1090(以降1時間毎¥750)
電源周波数磁界試験装置(最初の1時間) ¥940 (以降1時間毎¥260)
計 ¥2,030(以降1時間毎¥1,010)
※この試験は1時間もあれば十分です。
この金額は機器利用費なので、試験は自分達で行います。
(最初に説明は受けるので、操作方法は知らなくても大丈夫です)
今回解説した電源周波数磁界イミュニティ試験ですが、これまでNGになったことは無いです。
このため、対策を実施した経験がないため、対策法については割愛します。
以下の記事で、EMC対策で役立つ工具類を紹介しています。
他のEMC試験についての解説や各種対策法については、以下のまとめサイトを参照下さい。