この記事でわかること
・イマジナリーショートで、
オペアンプの動作が理解できる
・オペアンプ基本3回路がわかる
(反転増幅・非反転増幅・差動増幅)
デジタル回路と比べ、アナログ回路が苦手な人は多いと思います。
主な理由の一つはオペアンプだと考えています。
オペアンプが難しいと感じる最大の原因は、
フィードバック(出力が入力に戻る)がある事です。
しかし、ある1つのルールを覚えておけば、
オペアンプ回路の動作がわかるようになります。
本記事では、オペアンプの動作が理解できるたった一つのルールと、
そのルールを用いて3つの基本回路の動作について解説します。
イマジナリーショート(仮想短絡)で動作がわかる
オペアンプを使った回路は、
以下の3種類を覚えておけば、ほぼOKです。
・反転増幅回路
・非反転増幅回路(ボルテージフォロワも これの1種)
・差動増幅回路
どの回路でも、動作を理解するには
以下のルールだけ覚えておけばOKです。
反転入力端子(-)と非反転入力端子(+)が同じ電圧になる
つまり入力と+と-がショートしたと考えます。
これをイマジナリーショート(仮想短絡)と呼びます。
上記の3回路の各動作について、
イマジナリーショートを適用して解説します。
反転増幅回路
反転増幅回路は下記の回路です。
出力Voutは以下の公式で求まります。
Vout=-(R2/R1)×Vin
この回路は出力が反転(マイナス)するので、
オペアンプの電源が単電源(+電源だけ使用)の場合は
Voutがー出力できないので、あまり使いません。
上記の式を忘れたとしても、イマジナリーショートを使えば求める事ができます。
1. -端子電圧V- = +端子電圧V+と考える
V+=0Vなので、V-も0Vになります。
2. オペアンプの三角記号を外す
以下のような抵抗だけの回路になります。
先程、V+、V-だった箇所をA点とします。
3. R1、R2に流れる電流I1、I2を求める
A点の電圧VAは0Vになるので
I1=Vin/R1
I2=Vout/R2
となります。
4. キルヒホッフの法則を適用する
A点で電流の出入りする総和はゼロになるため
I1+I2=0
となります。
5. 3.と4.の式を組み合わせる
Vin/R1+Vout/R2 = 0
式を変形すると、上記の公式になります。
Vout=-(R2/R1) × Vin
非反転増幅回路
非反転増幅回路は下記の回路です。
出力Voutは以下の公式で求まります。
Vout=(1+R2/R1)×Vin
本回路は出力が反転しない(負電圧にならない)ので、
先程の反転増幅回路と違い、
オペアンプの電源が単電源(+電源だけ使用)でも使えるので、よく利用されます。
この回路の増幅率を1にしたものをボルテージフォロワと呼び、
出力バッファとして良く利用されます。
この非反転増幅回路の公式も、イマジナリーショートを使えば求める事ができます。
1. -端子電圧V- = +端子電圧V+と考える
V+=Vinなので、V-もVinになります。
2. オペアンプの三角記号を外す
以下のような抵抗だけの回路になります。
先程、V+とV-だった箇所をA点とします。
3. R1、R2に流れる電流Iを求める
I= V2/(R1+R2)
4. A点の電圧VA=Vinになるので、
電流Iは、
I=Vin/R1
としても表現できます。
5. 3.と4.の式を組み合わせる
Vin/R1= Vout/(R1+R2)
式を変形すると、上記の公式になりました。
Vout=(1+R2/R1) × Vin
差動増幅回路
差動増幅増幅回路は下記の回路です。
出力Voutは以下の公式で求まります。
Vout=(R2/R1) × (Vin+ - Vin-)
この回路は2つの電圧差を増幅するので、
オペアンプで最も良く使われる回路です。
この回路の公式も、イマジナリーショートを使えば求める事ができます。
1. -端子電圧V- = +端子電圧V+と考える
+端子電圧V+は
V+=R2/(R1+R2) × Vin+
となるので、-端子電圧V-も
V-= V+= R2/(R1+R2)×Vin+
になります。
2. オペアンプの三角記号を外す
以下のような抵抗だけの回路になります。
V+、V-だった場所をA点とし、
電圧VAとします。
3. R1、R2に流れる電流I1、I2を求める
A点の電圧VAは、1.より
VA= R2/(R1+R2)×Vin+
になるので
I1=(Vin- ーVA)/R1
I2=(VoutーVA)/R2
となります。
4. キルヒホッフの法則を適用する
A点で電流の出入りする総和はゼロになるため
I1+I2=0
となります。
5. 3.と4.の式を組み合わせる
(Vin- − VA)/R1=-(Vout-VA)/R2
Vout=(R2/R1+1) × VA-(R2/R1) × Vin-
VA= R2/(R1+R2) × Vin+ を代入して
Vout= ((R1+R2)/R1 × R2/(R1+R2))Vin+
-(R2/R1)×Vin-
=(R2/R1)×Vin+-(R2/R1)×Vin-
式を変形すると、初めに示した公式になりました。
Vout=(R2/R1) ×(Vin+ - Vin-)
以上の様に、オペアンプを見た時に、
3つの回路を忘れてしまっていても、
イマジナリーショートさえ覚えておけば、出力電圧を求めることができます。
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