オープンコレクタとは?接続方法とNPNとPNPの違いについて | アナデジ太郎の回路設計

オープンコレクタとは?接続方法とNPNとPNPの違いについて

回路設計

この記事で分かること

・オープンコレクタとは、どんなものか? NPNとPNPの違いがわかる。
・オープンコレクタの使い方(接続方法)がわかる。

オープンコレクタとは?

その名の通り、トランジスタのコレクタ端子がオープン(何も接続されてない)状態の事です。
センサー等の機器で、出力がオープンコレクタになっているものが多いです。

ただし、このオープンコレクタ出力からは、電圧や電流は出てきません。
なので、そのまま入力機器につないでも信号は入って来ないです。

オープンコレクタは出力というより、スイッチと表現した方が適切です。
OUT端子とGNDがオープン(OFF)又は、ショート(ON)になる動作をします。

つまり、センサの出力がオープンコレクタの場合、センサの内部にスイッチがあって
センサーが感知したら、スイッチONになるという訳です。

このスイッチのON/OFF状態を、後段の機器に入力信号として伝えるには、
外部から電圧やプルアップ抵抗を加えることが必要です。

「こんな面倒臭い出力にせずに、電圧を出力すれば良いのに」と思うかもしれません。
でも、この出力方式にした方が、汎用性が高くなるのです。

例えば、もし12V出力方式だとした場合、入力側が12Vに対応していないと接続できません。
オープンコレクタは、入力側の電圧に合わせた出力にすることが可能です。

また、オープンコレクタは複数台、並列に接続することもできます
どれか1つでもONしたら信号を0Vにする(ワイヤードOR(論理和))にすることが可能です。



オープンコレクタの接続方法

オープンコレクタにはNPN型とPNP型があり、どちらにするかで以下のような配線になります。

両方式とも、オープンコレクタがONすると、OUT端子とGNDがショートになり、
入力機器に電流が流れるので、ONを検出できます。

オープンコレクタがOFFになると、先程の端子間がオープンになるので、
電流が流れなくなり、入力機器はOFFを検出します。

<接続時の確認事項>
 接続時には以下の3つの条件を確認する必要があります。

条件1:ON時に入力機器に印加される電圧Vin > 入力機器のHレベル電圧

 オープンコレクタはONしても完全な0Vにはならず1V~2V程度になります
 この電圧をコレクタ・エミッタ間飽和電圧(残留電圧)Vce(sat)と呼びます。

  入力機器に印加される電圧Vin = 電源電圧V ー 残留電圧Vce(sat)

 VinがHレベル電圧より高くないと入力機器がONを検知できません。

 例えば、残留電圧2Vのオープンコレクタの場合、電源電圧24Vとすると、 
   入力電圧Vin = 24V ー 2V =22V となります。
 入力機器のHレベル電圧が22V以下ならONを検出できます。

条件2:オープンコレクタの最大負荷電流 > 入力機器に流れる電流Iin

 オープンコレクタがONした時、流れる電流が大きすぎると故障します。
 入力機器からの電流Iinは先程求めた入力電圧Vinと入力抵抗Rinから求めます。
        in = Vin / Rin

例えば、入力抵抗3.3kΩの場合、Vinは先程22Vと算出済なので
   Iin =22V / 3.3kΩ = 6.7mA
オープンコレクタの最大負荷電流は、これより十分大きいものを選ぶようにします。

条件3:オープンコレクタの最大負荷電圧 ≧ 電源電圧V

 オープンコレクタがOFFした時、電源電圧Vが大きすぎると故障します。
 最大負荷電圧はオープンコレクタ回路の電源電圧Vccと同じ場合が多いです。

 上記の例の場合、オープンコレクタ電源電圧Vcc=入力機器電源V ならば、
 最大負荷電圧=電源電圧Vとなるので、使用できることになります。

NPN型とPNP型の違いについて

両方式とも、オープンコレクタがONすることで、電流が入力機器に流れ込んで検出するのは同じですが、GNDがオープンコレクタ側か、入力機器側かという違いがあります
これが、地絡に対する安全性に差が出てきます。
 ※地絡:信号線が大地(アース)とつながって電流が流れる(漏電)してしまうこと

 NPN型 :信号線が大地と接触すると入力機器がONと誤動作する。
 PNP型 :信号線が大地と接触してもONにはならない。
このため、CEマーキングが必要な欧州向け製品では安全性が高いPNP型が用いられています。

NPN型は、オープンコレクタと入力機器の電源を分離できる利点があります。

例えば、オープンコレクタ出力のセンサーを入力装置から離れた場所に設置する場合、
NPN型ならば、遠方のセンサーまで電源を供給する必要はありません。
日本や米国ではNPN型が多く用いられています。

プルアップ抵抗を使ったオープンコレクタ接続

プルアップ抵抗RpをOUT端子に接続すれば、入力機器もGNDに接続されるので、
信号線が地絡しても誤検知しなくなります。

但し、この方法はONでもOFFでも常に電流が流れるので、消費電力が増えます。
また、入力機器への電圧がプルアップ抵抗Rpと入力抵抗Rinで分圧されるので、
Hレベル電圧より低くなるとON検知できなくなります。

このため、Hレベル電圧が低く、入力抵抗Rinが大きい入力機器に限られます。

 <トランジスタの詳細については下記の記事で解説しています>

 <半田付けのコツや部品の外し方を解説しています>

 <回路工作で役立つ工具類を下記の記事で紹介しています>