【初級者向】フォトカプラの基本的な使い方

回路設計



【本記事でわかること】

・フォトカプラを使った回路の設計方法
・接続する抵抗値の決め方
・データーシートの見方がわかる

フォトカプラは回路間を絶縁する時に用います。

デジタル回路ではフォトカプラをONかOFFさせれば良いですが、
アナログ回路では入力信号の大きさに応じた出力が必要になるので、
少し複雑な回路設計になります。

本記事では、
デジタル信号を絶縁する場合の回路設計方法について解説します。
アナログ回路についても簡単に述べています。

【フォトカプラを使った回路設計方法】

下記の設計例を元に説明します。
ロジックICの出力を絶縁する回路になります。

<設計例>
 一次側:5V回路
 二次側:12V回路

 フォトカプラ:東芝製TLP785
 ロジックIC:東芝製TC74HC04

ロジックICの出力をフォトカプラに直接つなげると、
出力電流不足でフォトカプラが動作しない場合があります。

TLP785の推奨動作条件はIF=16mAです。
TC74HC04は、Lレベル出力でのシンク電流がIOL=4mAなので、十分とは言えません。

このため、間にトランジスタを入れて電流増幅します。
ここでは、一般的なトランジスタである東芝製2SC2712を使います。



トランジスタの各抵抗値を決める


トランジスタON時にフォトカプラに16mA流れるようにするには、
2SC2712の電流増幅率hFEが100なので、ベース電流IBを0.16mA流せればOKです。

これなら、ロジックICの出力電流で十分です。

TC74HC14のH出力電圧は、データシートを見ると出力電流4mAで4.13Vとあります。

ここでは0.16mAしか流さないので、これよりも高い電圧になりますが一応、この値を使います。

トランジスタON時のBE間飽和電圧VBE(sat)はIB-VBE(sat)特性より、
IB=0.16mAで、VBE=0.8Vになります。

ベース電流が流れない時、
トランジスタが確実にOFFするために設けるBE間抵抗は通常10kΩにします。
(ベース抵抗RBやRBE間抵抗の求め方については別記事を参照下さい)

この時、RBEに流れる電流は
VBE(sat)/RBE=0.8V/10kΩ=0.08mA

この電流値とベース電流IBの合計0.24mAを流すため、
ベース抵抗RBは以下にします。
RB=(VOHーVBE(sat))/I=(4.13ー0.8)V/0.24mA≒13kΩ

これで、TC74HC14がH出力の時、フォトカプラに16mA流すことができます。

フォトカプラの入力側抵抗R1を決める

一次側電源V1=5Vの時、IF=16mA流すための抵抗R1は以下で求まります。
R1=(V1ーVFーVce(sat))/IF

VF :フォトカプラの順方向電圧  IF-VF特性より、IF=16mA時で1.18V
VCE(sat) :トランジスタON時のVce間電圧 VCE(sat)-IC特性より、IC=16mA時で0.05V

よって、
R1=(5ー1.18ー0.05)V/16mA=3.77V/16mA≒220Ω
となります。



フォトカプラ出力電流ICを求める

フォトカプラにIF流した時の出力電流ICとの比が変換効率CTR=IC/IFになります。
変換効率ランクを見るとYランク品でCTR=50~150とあります。

これをIF=16mAに適用すると、
IC=CTR×IF=8~24mA
になります。

ここで、注意してもらいたいのは条件がVCE=5Vであることです。

つまり、フォトカプラがONしてもVCE=5Vもあることを意味します。
これでは出力をL(ゼロ)にすることができず使い物になりません。

それではVCE=0V付近のCTRはどうなるかCTR-IF特性を見ると、
IF=16mAの場合 VCE=5VだとCTR=250%もありますが、VCE=0.4Vでは80%まで低下しています。

IC-IF特性を見ても、
VCE=IF=16mAで、VCE=0.4Vでは約13mAなので、13mA/16mA=0.8となり、
CTR-IF特性で求めたCTR=80%と一致します。

従って、フォトカプラの出力をLにするため、
VCEを0.4Vまで下げるにはIC=13mAが上限ということになります。

出力側抵抗R2を決める

IC=13mAに制限するための抵抗R2を決めます。

IC-VCE特性グラフはVCE=0~1.2Vと、0~10Vまでの2種類があります。

今回はデジタル回路で使用するため、VCEゼロ付近を利用するので、
VCEが1.2Vまでのものを使用します。

10Vまでのグラフは、アナログ回路で使用します。
IFに比例してICを増やしたい場合は、VCE>1V以上の領域で動作させます。
主な用途として、絶縁型電源のフィードバック回路があります。

話をデジタル回路に戻します。
IC-VCE特性より、IC=13mAの場合、VCE=0.3Vとなるので、
13mAに制限するためのR2の値は以下になります。
R2=(V2ーVCE)/IC=(12ー0.3)V/13mA=900≒910Ω



フォトカプラOFF時の暗電流ICEOを求める

最後に、フォトカプラOFF時の出力電圧に問題がないか確認します。

フォトカプラは入力電流が流れなくても、僅かですがコレクタ電流が流れます。
これを暗電流ICEOと呼びます。

このICEOが大きいと、フォトカプラがOFFしても出力電圧が低下してしまい、
Hレベル電圧を維持できなくなります。

ICEOはVCEと、周囲温度Taが高くなると大きくなります。
ICEOは以下の式で求まります。
ICEO=ICEO(25℃)×VCE(使用条件)/VCE(規格条件)×10(Ta-25℃)/25℃

10の指数があって複雑に見えますが、
これは周囲温度が25℃上る毎にICEOが1桁上がることを意味しています。

ICEO-Ta特性を見ても、Ta=25℃で0.003uA、50℃で0.03uAになっているのが分かります。

規格条件はVCE=24Vであり、今回の例ではVCE=12Vになるので、
ICEOは半分の値になります。

周囲温度Ta=60℃とした場合、
VCE=24VでICEO=0.06uA、
VCE=12Vだと、その半分の0.03uAになります。

これがR2に流れるので、出力電圧の降下分は
R2×ICEO=910Ω×0.03uA=27.3uV
非常に小さいので影響ないです。

周囲温度が高く、R2が大きい場合、
特にアナログ回路では、ICEOによる電圧降下が無視できなくなるので注意が必要です。

<フォトカプラの入力につける並列抵抗について解説しています>

<トランジスタの設計方法について解説しています>