ロジックICの3.3V⇔5V、24V電圧変換と接続方法

回路設計



この記事でわかること

・3.3V⇔5V論理レベル変換方法がわかる
・3.3Vマイコンから5V系機器への入出力回路がわかる
・動作電圧が5Vを超えるリレー等に出力する方法がわかる

マイコン搭載基板を設計する際、
基板に接続する外部機器は5V以上で動作するものが多く、
3.3V系マイコンの場合、入出力電圧の変換が必要です。

本記事では、電圧の異なる信号を変換する為に、
どのようなICを使用すれば良いか解説します。

5V機器→3.3Vマイコンへの入力

5V系外部機器からの入力の場合、
トレラント機能を持つロジックICを使用します。

トレラント機能を持つICは3.3V電源で動作しますが、
5V入力に対応できます。

SN74LV244A   8回路入りバッファIC(TI製)

LVシリーズはトレラント機能を持つ3.3V系ロジックICです。
価格も安く、高速なので、よく使われます。

電源電圧Vcc=3.3V、5Vどちらでも動作します。
入力電圧はVccに関係なく7Vまで耐えられます。

入力の論理レベルは電源電圧Vccで決定されます。
Hレベル入力電圧 VIH=0.7 × Vcc     
Lレベル入力電圧 VIL=0.3 × Vcc 

Vcc=3.3Vの場合、VIH=2.31V、VIL=0.99Vとなります。

5V機器の出力レベルについては、内部のデバイスで多少の違いはありますが、
TC74HCシリーズ 出力電流4mAの場合は以下になります。
最小Hレベル出力電圧 VOH(min)=4.13V
最大Lレベル出力電圧 VOL(max)=0.33V

VOH(4.13V) > VIH(2.31V)、VOL(0.33V) < VIL(0.99V) なので、
5V機器からの論理信号を正しく認識できます。

上記の回路図では外部機器が未接続でも
入力が不安定にならないように4.7kΩでプルアップしています。

このプルアップ抵抗は10kΩでも構いません。

抵抗値が大きい方が消費電力は減りますが、
あまり大きくするとノイズに弱くなります。

理由は抵抗が大きいと、
ノイズが抵抗に流れた時の電圧降下が大きくなり、
Hレベルを維持できなくなる為です。

また、外部からのノイズ除去の為、
100Ωと0.01uFでローパスフィルタを構成しています。
これにより、160kHz以上のノイズをカットしています。

このRCの値については、信号速度に応じて、
カットオフ周波数fcを設定することで決まります。

出力については、3.3V系ロジックICそのものなので、
3.3V系マイコンをそのまま接続できます。

つまり、このLVシリーズは、Vcc=3.3Vにすることで、
入力は5V、出力は3.3Vにすることができます。

3.3Vマイコン→5V機器への入力

マイコンからの3.3V出力を5Vに変換して外部機器に出力する場合は、
5V電源で動作し、3.3V入力に対応できる
TTLレベル入力機能を持つロジックICを使用します。

TTLレベル入力ならば、5V系ロジックICでも、
3.3Vの論理レベル入力に対応できます。

TC74HCT244A  8回路入りバッファIC(東芝製)

HCTシリーズは5V系ロジックICで、
シリーズ名の末尾にTが入ると入力がTTLレベルになります。
(VHCT、LVTなど)

通常のCMOSレベルの場合、
入力の論理レベルは電源電圧Vccで決定されます。
Hレベル入力電圧 VIH=0.7×Vcc     
Lレベル入力電圧 VIL=0.3×Vcc 

Vcc=5Vの場合、VIH=3.5V、VIL=1.5Vとなります。

これだとHに認識させるためには3.5V以上必要なので、
3.3V系ICの出力では対応できません。

しかし、TTLレベル入力だと、Vccに関係なく以下になります。
Hレベル入力電圧 VIH=2.0V     
Lレベル入力電圧 VIL=0.8V

2VあればHと認識できるので、3.3V系ICの出力で対応できます。

3.3V系マイコンの出力電圧は、
デバイスにもよりますが、以下の値になります。
最小Hレベル出力電圧 VOH(min)=2.4V
最大Lレベル出力電圧 VOL(max)=0.4V

VOH(2.4V) > VIH(2V)VOL(0.4V) < VIL(0.8V)なので、
マイコンからの3.3V系H/L信号を正しく認識できます。

出力についてはCOMSレベルで動作し、
5V論理レベル信号になるので、5V系機器と接続できます。



3.3Vマイコン⇔5V回路 入出力

パラレルバス等の双方向信号の場合については、
電圧変換ICを使います。

SN74LVC4245A  8回路入り 5V-3.3V レベルシフタ(TI製)

LVCシリーズは先程の3.3V系ロジックIC LVシリーズの高速版です。

このICは3.3V、5V両電源を使用します。
DIR入力により、入力/出力が切り替えられます。

これはA信号側が5V系、B信号側が3.3V系ロジックICとして動作します。

また、OE入力により、信号回線から遮断(ハイ・インピーダンス)できる
3ステート出力が可能です。

3.3Vマイコン→ 24V電圧信号を出力する場合

モーターやリレーなど5Vを超え、電流も10mA以上流したい場合
通常のロジックICでは対応できないため、トランジスタアレイを使用します。

TBD62083A  8回路入り トランジスタアレイ(東芝製)

これはトランジスタアレイとして有名だったTD62083Aの後継品です。

当時はオープンコレクタ出力でしたが、
今はFETになり、オープンドレイン出力ですが、動作は同じです。

入力Hで内部FETがオンすると、出力がLになるので、論理が反転します。
(論理信号を反転したくない場合は非反転型のTBD62783Aがあります)

このICは出力電圧50V、出力電流0.5Aまで流す事ができます。
(但し、温度、ON期間、複数同時ON等の条件で許容電流は減少します)

注意点として、このICはオープンドレイン出力なので、自ら電圧を出力できません。
出力がスイッチになっていると考えた方が適切です。

これはオープンコレクタと同じ考え方です。
オープンコレクタについては下記記事で解説しています。

ちなみに、このICに電源ピンVccはありません。
内部はFETなので、入力信号を加えれば動作します。

このFETの出力耐圧は最大50Vなので、
外部から電圧を加えることで、15Vにも24V出力にもできます。

マイコンからのH信号でFETがオンして、
コイルに電流が流れてリレーが動作します。

L信号でFETがオフしますが、この時、リレーコイルの逆起電力による
電圧上昇でFETの定格電圧を超える恐れがあります。

その場合は、COM端子にリレー電源24Vを接続します。

これにより、トランジスタアレイ内のクランプダイオードにより、
24Vを超えたら24V電源に電流が流れるので、
FET出力(O1)の電圧上昇を防ぐことができます。

但し、オフしてもすぐに電流が遮断できなくなるので、
COM未接続時より、リレー停止が少し遅れます。

このため、逆起電力発生の恐れが無いLEDを接続する場合は、
COMは未接続で使用した方がLEDをすぐ消灯できます。

<以下の記事で、基板の部品交換や修正で役立つ工具類を紹介しています>